「建国記念の日」反対大阪連絡会議とは

 戦後「紀元節」の復活を狙う政府は、1966年に「紀元節の日」であった2月11日を「建国記念の日」と制定しました。

 「建国記念の日」反対大阪連絡会議は、「建国記念の日」が、①神武天皇即位という歴史的実証的根拠を全くもたない非科学的な「建国」で、国民の歴史意識を混乱させること、 ②軍国主義復活に結びつける意図が明瞭であること、③なによりも主権在民の憲法の精神に反していること-を理由に1967年以来毎年、不承認のつどいを開き、府民としての意思を示してきました。また、平和と民主主義に関わる時々の課題を取り上げ、私たちの立場からの文化創造をめざしてきました。

 歴史学団体、出版・マスコミ関係、労働組合など6団体で事務局を構成しています。

歴史を偽造してつくられた「建国記念の日」

 2月11日は、アジア太平洋戦争敗戦までは、「紀元節」という祝祭日でした。「紀元節」は、「大日本帝国の建国の日」とされていました。

 「紀元節」は、明治政府が1872年11月の太陽暦採用の際、『日本書紀』に記されている「辛酉年春正月庚辰朔、(神武)天皇橿原宮にて帝位に即く」と書かれているのを太陽暦に直すと、1月29日だということで制定されました。ところが、廃止される太陰暦も天保暦で、それまでに七回も改暦されているので計算が間違っていたとして、1874年に2月11日とされたのです。いまでは、『日本書紀』のいう「辛酉年」=紀元前660年に「日本が神武天皇によって建国された」などということは誰も信じない歴史事実です。


国会の審議放棄の上で、決められた「建国記念の日」

 「国民の祝日に関する法律」の第二条には、「建国記念の日 政令で定める日(2月11日)」、「建国をしのび、国を愛する心を養う」とあります。「建国の日」がいつなのか、歴史研究でも明らかになっていないために、国会でも「建国記念日」でなく、「建国記念の日」になったのです。1966年の第51通常国会で祝日法改正案は成立しましたが、日にちが決められず、「建国記念日審議会」(会長・菅原通済)が設置されて審議の結果、政令によって「建国記念の日」となりました。

 「国会は、国権の最高決議機関であって、国の唯一の立法機関である」(日本国憲法第41条)と定められているのに、このように重要な問題を国会審議で決定したのではなく、政令によって公布したのです。


人々に対する思想攻撃としての「建国記念の日」

 「建国記念の日」制定のあと、佐藤栄作内閣は、「明治100年祭」を執り行い、その後も歴代の内閣が象徴天皇制の規定に反する政策をすすめました。「元号法」や「国旗・国歌法」の制定などです。天皇崇拝の思想を植えつけようとして、さまざまな手段で国民に天皇及び天皇制を浸透させようとしています。

 安倍内閣は、歴史の塗り替えに執念を燃やしています。自民党改憲案では、日本を「天皇を戴く国」としようとしています。そして、そうした考えに基づく教科書をつくらせ、中学生に手渡してもいます。日本を再び「戦争のできる国」にしようとしているのです。さらに、こうした動きに反対する研究者・教育者・文化人に対する脅迫やいやがらせ行動をくり返すようになりました。


国家主義と軍国主義の記念日だった旧「紀元節」

 1889年2月11日には、大日本帝国憲法が発布されました。この日、東京府下の小学校では式典が挙行され、「紀元節」の歌がうたわれました。そして、1891年には「小学校祝日大祭日儀式規程」が定められ、祝祭日には全国の学校で儀式がおこなわれるようになりました。「紀元節」の歌「雲に聳ゆる高千穂の 高嶺おろしに草も木も 靡きふしけん大御代を あふぐけふこそたのしけれ」の歌がうたわれるようになったのです。

 1904年、明治天皇は、ロシアに宣戦布告しましたが、国民には翌日、「紀元節」の日の新聞で知らせました(すでに 2月6日仁川・旅順の奇襲攻撃で戦争は開始されていました)。そしてアジア太平洋戦争中は、しばしば「紀元節までに○○を攻略せよ」の命令が出され、戦傷病者・戦没者のもっとも多い日となったのです。

 他国をみても独立記念日や革命記念日、憲法制定記念日などで、建国記念日のない国もあります。日本の「建国記念の日」は国際的にも通用しない非常識なものです。


憲法をいかし、「建国記念の日」を廃止させましょう

 「建国記念の日」は、国民主権と恒久平和を誓った日本国憲法とまったく相いれません。私たちは、「紀元節」復活の動きがはじまったときから一貫して制定に反対し、政令公布後は不承認の運動をつづけてきました。歴史の歪曲・偽造を許さない運動は全国で粘り強く続けられてきています。

 歴史の真実を次代に受け継ぎ、日本国憲法の基本原則を守る取り組みが重要さを増しています。歴史に学び、歴史を生かすために、力を合わせて、「建国記念の日」を廃止し、文化の香り高い大阪をきずくために努力を続けましょう。